その1
今日は、新人ヘルパーA子さんの初めて一人で利用者の家へ出かける日。 「がんばって~」と先輩ヘルパーたちに見送られ、事業所をあとにしたA子さんでしたが・・・。
利用者の方にメモを渡され、買い物を頼まれました。
牛乳、ぶり、豆腐…。 A子さんが近くのスーパーへ行ったところ、ぶりがありません!
あわてたA子さん、急いで先輩ヘルパーのうさぎさんに電話をしました。
こういう時は慌てずに、利用者宅にお電話をして、ご意見を伺いましょう。
こういう時のために、買い物の前にはあらかじめ、
・ぶりがなかったら?
・何切れ?
・大きさは?
・どこのメーカーの牛乳?
・値段の範囲は?
など、詳しく聞いておく事が大切です。
- その一
- 利用者の電話番号を携帯する。
独断で判断せず、ご意見を伺いましょう。
その2
さて、無事に買い物を済ませたA子さん。
冷蔵庫に買ってきたものを入れると、賞味期限切れの牛乳を発見!
(A子さん)あれ?これどうしよう。そうだ、ご意見を伺おう!
大正解!人によっては「1日過ぎても大丈夫」あるいは「1日でも過ぎたものは、口にしない」などさまざまです。
処分する場合も、けっしてヘルパーの独断ではなく、
声かけをして、利用者の了解を得ましょう。
ここで大切なことは、ノートに記録する、もしくは事業所に連絡しておくことです。
期限切れのもので調理してほしいという依頼があった場合も同様です。
- その二
- 勝手に処分しない。
賞味期限切れのものもお声かけをしましょう。
その3
牛乳を処分してほしいと言われて、処分したA子さん。
ひと仕事をして、ちょっと落ち着きました。
そこでA子さんは「暑いですね・・・」と利用者の方と コミュニケーションをとろうとしましたが、どうも会話がはずみません。
なんとなく、居心地の悪い空気が・・・。
利用者の情報は、わかる範囲で事前に頭に入れておきます。
しかし、興味のある身近な話題はサービスに入らないとわかりませんね。こういう時はどうするか?たとえば、お部屋をちらちら見てみましょう。阪神タイガースのカレンダーや釣りの本、お孫さんの絵、コレクションしていたものなどが飾られていませんか?そうしたものをヒントに、話題にしてみましょう。
自分から話すのではなく、聞き出すような気持ちで、利用者の方のお話を楽しみましょう。
- その三
- コミュニケーションは聞き役で。
話題のヒントは部屋に満載?!
その4
利用者がタイガースファンと分かったA子さん。
甲子園に行ったときの話や野球談義で大盛り上がり。
仕事が終わると、利用者に「お茶でも飲んでいってよ」と言われました。 (A子さん)講習では、一切をお断りすること、って習ったな。
どうしよう。。。
迷っているA子さんに利用者が言いました。 「タイガースの話で、のどがかわいたのよ。私だけ飲むのもなんだから…」
そこで、A子さんは
「では、いただきます。4時に事務所に帰らないといけませんので、それまでなら。」
すると、利用者もうれしそうに言いました。
「それじゃ、このトラ饅頭も一緒に食べてね!」
贈り物やお茶、お菓子は一切お断りすると習いましたね。
ヘルパーステーションうさぎでは、まず、優しくお断りします。
「せっかくですが、仕事ですので。お気遣いありがとうございます。」という具合です。しかし、A子さんの場合は、お茶もお菓子もいただきました。
このようなケースでは、「心のケア」と考えて、傾聴する時間にしましょう。
区切りの時間を前もってお伝えしておくといいですね。
こうした事を事業所に報告しておくと、別のヘルパーに引き継ぐ際のケア統一にもなり、トラブルにもならないと考えます。
- その四
- お茶やお菓子は、優しくお断りを。
でも、「心のケア」も忘れずに!
その5
すっかり、慣れてきたA子さん。
いつものように利用者宅へ出かけると、これから仕事をしようという時にクレームを受けました。
事業所に帰ってきても「なんか自信なくなっちゃった~」と言っているA子さん。
クレームを受けると、つい、自信を失ったり、反発しがちですね。たしかに、クレームを受けてうれしい人はいません。でもその言葉はヘルパーの人間性への批判ではありません。クレームには「本来のニーズ、新たなニーズ」が潜んでいるかもしれないのです。
自分の仕事を見直す絶好のチャンスととらえましょう。
クレームを受けた時は、まず、謝ること。
そして、そのクレームに耳を傾け、どうすれば良いのかを考え、利用者に確認しましょう。そして、事業所にも報告を忘れずに。在宅ケアの主役は、ヘルパーではなく利用者です。ヘルパー中心の自己正当化にならないようにしましょうね。
- その五
- クレームは歓迎精神で。
クレームにはニーズが潜んでいると受け止めて、しっかり伺いましょう。